きょうのエスキス

一級建築士試験、R2学科復活合格。製図が鬼門。R3は自分に負けない年にする!じんわり日々の振り返り。

無防備さとやわらかさ

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「過去の体験を見つめ直すことにより、自らの回復力や周囲の人たちの支えを再認識することができた。人生の選択肢は若いほど多く、高齢になるほど少なくなっていくため、希望はないが、今を大切に生きたい。今を大切にして生きる人は、今までの苦労はすべて感じなくなっていくのだと思う。今の幸せを維持するにはどうすればよいかが今後の課題だ。」

介護福祉士の実習指導をして下さった先生の言葉である。先生は80代の女性であるが、現役で教壇に立ち、その姿勢や振る舞いを見るたびに、気持ちがシャンとした。一年前、安寧の都市ユニットの実践プロジェクトの聴き取り調査に快く応じて下さり、午前の3時間ほど時間をとって、自分自身と向き合って下さった。その無防備さを見て、守りに入っていた私はドキッとした。今までの棚卸しをしよう。私も協力して下さったみなさんのように、オープンでありたいと強く思った。

ひとは年齢や環境が変化しても、常に自分らしさの維持に努めながら生きている。逆にそのことに失敗し、自らの内外に生じる変化があまりに大きくなると、アイデンティティーを喪失してしまうことがあると学んだ。人生の最期まで自分らしく過ごしていくためには、自分ができることを冷静に見極めながら、理想の自分というものを柔軟に変えていくことが必要なのかもしれない。

状況や出来事をどう解釈するかによって、感じ方も変われば行動のとり方も変わるため、もし出来事をどのように捉えるかを選択することができれば、イベントに対してただ受け身になるだけではなく、いくつかの対処法を選択できるようになる可能性がある。選択の幅が広がれば、生き方の柔軟性が増すのかもしれない。先生を含め、調査を通じたみなさんとのコミュニケーションの中で、QOLが高い状態で生活し続けるためには、客観的な事実がどうであるかよりも、自分が何を信じるかということがその人の人生において大きな影響を与えるのではないかと考えるようになった。

「いつ何をすべきか」といったライフイベントも時代とともに変化している。「歳の取り方」のロールモデルを見失い、標識になりそうなライフイベントも希薄になってきている。ひとは歳をとることを拒み、若くあり続けることを望むが、加齢していく自身と向き合うこと、心の持ちようをしなやかに移行していくことが、今の私の課題だ。今この瞬間に集中したい。