きょうのエスキス

一級建築士試験、R2学科復活合格。製図が鬼門。R3は自分に負けない年にする!じんわり日々の振り返り。

だれも知らない建築のはなし

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学生時代を過ごした北山には、作品に登場されていた、磯崎新さんの京都コンサートホール安藤忠雄さんの陶板名画の庭があり、高松伸さんのシンタックスビルと合わせて、駅から半径100m以内に密集していました。ただその時は建築に興味がなく、野外美術館、ロボットのようなビル(ポストモダン建築)など目新しさに魅かれていました。街には独特な雰囲気が漂っていました。

映画を観て、まず驚いたのは、磯崎新さんの容姿でした。設計された建物のような、スタイリッシュな方だと想像していたのですが、白髪をオールバックにし、後ろでまとめ、サングラスをかけた姿は、凄みさえ感じられました。「日本人はコミュニケーションできていない。だから、オーラがある。」「説明できないからこそ、ずっと飽きられない。」と海外の建築家から批評されていましたが、磯崎さんはキュレーターとして活躍されているだけあり、インタビューでも独自の建築理論で解説されていました。都市に個性の違う建築家を集め、自身がコミッショナー(=権限を与えられた人)となり、関係性を築いていくことが大切だと。熊本アートポリスも手がけられていたとは…

建築の課題として、磯崎さんより一回り若い、伊東豊雄さんや安藤さんは「建築は社会とつながれていない」「無力感がある」と。社会との関係性が希薄になっていることを、建築家として切実に語っておられたのも、磯崎さんとは対照的で印象深かったです。そういえば、建築の世界はまわりと議論することが少ない気もします。お二人のようなカリスマ性のある方ならなおさら。別の側面では、従来の建築家が不在のなか、社会性を重視するばかりに、エゴを排除し、統一性や凡庸さを美意識ととらえて、作られているのかなとも。これでは建築もどんどん息苦しくなっていきますし、寂しくもなるなぁ。

石山友美監督は何を意図して、インタビューをまとめられたのだろうか?建築家のゴシップ?群像劇!?監督のお父様は石山修武さん。余談ですが、「モバイルハウスのつくりかた」の坂口恭平さんも、石山さんの建築に影響を受けたようです。面白いつながりだなぁ。これから建築、都市、地域はどこに向かっていくのだろう?