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きょうのエスキス

一級建築士の学科試験に向けて奮闘中。静かにじんわりと、日々の振り返り。自分のための。B面。

すてきなあなたに

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わたしにとっての生活のお手本、新しい生き方のヒントを与えてくれたのが『暮しの手帖』です。その中にあるエッセイは、別冊「すてきなあなたに」 としても出版されていて、特にお気に入りです。そう、朝ドラの「とと姉ちゃん」のモデルになっている、大橋 鎭子さんがずっと書かれていたんです。

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四季折々の心温まるエピソードが12ヶ月分詰まっていて、いつの時代も変わらず、 日々を丁寧に過ごすことが大切だと教えてくれます。花森 安治さんのレトロで愛らしい装丁、書体が、手作り感いっぱいで、これがまたとてもいいんです。

暮しの手帖」創刊号の最後のページ。

「ひとが、どんなに生きたかを知ることは、どれほど力づけられ、はげまされるか知れないと思うからです。」

読者のしあわせを考え続けられていたのだなぁ。

あとがき

ふりかえってみると、こんなに、たのしい思いで本を作ったことは、これまで一どもありませんでした。いく晩も、みんなで夜明かしをしましたし、そうでない日も、新橋の駅に、十時から早くつくことは、一日もないくらい、忙しい日が続きましたけれど一頁ずつ一頁ずつ出来上がってゆく、うれしさに、すこしも、つらいなどとは、思ったこともありませんでした。

この本は、けれども、きっとそんなに売れないだろうと思います。私たちは貧乏ですから、売れないと困りますけれど、それどころか、何十万も、何百万も売れたら、どんなにうれしいだろうと思いますけれどいまの世の中に、何十万も売れるれるためには私たちの、したくないこと、いやなことをしなければならないのです。この雑誌を、はじめるについては、どうすれば売れるかということについて、いろいろのひとにいろいろのことを教えていただきました。私たちには出来ないこと、どうしても、したくないことばかりでした。いいじゃないの、数はすくないかも知れないけれど、きっと私たちの、この気もちをわかってもらえるひとはある。決して、まけおしみではなく、みんな、こころから、そう思って作りはじめました。でも、ほんとは、売れなくて、どの号も、どの号も損ばかりしていては、つぶれてしまうでしょう。おねがいします、どうか一冊でも、よけいに、お友だちにも、すすめて下さいませ。

はじめて出す本で、どんなものが出来るともわからないのに、私たちの気もちを買って下さって、先生がたの、とてもいい原稿がいただけたことは、涙の出るほど、うれしうございました。出来ることなら、何でもして上げよう、とおっしゃって下さる方もございました。気に入らなければ、いくどでも書き直して上げるよ、とおっしゃって下さるかたもございました。ありがたくてみんなで、私たち、ずいぶん幸せね、と何ども何ども言ったことでした。こころからお礼を申上げさせていただきます。

この雑誌には、むつかしい議論や、もったいぶったエッセイは、のせないつもりです。それが決して、いけないと言うのではなくて、そうしたものは、それぞれのものが、もう、いく種類も出ているからなのです。この紙のすくない、だから頁数も少なくしなければならないときに、どの雑誌も、同じような記事をのせることはつまらないことだと考えたからなのです。毎月出したい気もちで、いっぱいでいながら、年四回の季刊にしたのも、その方が、いくらかでも頁数を多くすることが出来るからでした。だから、紙の制限や、頁数の制限がなくなったら、そのあくる月からでも、毎月出してゆくつもりでいます。それまで、年四回では、きっと物足らないとお考えでしょうけれど、どうぞ、がまんして下さいませ。第二号は十二月初めにだします。

はげしい風のふく日に、その風のふく方へ、一心に息をつめて歩いてゆくような、お互いに、生きていくのが命がけの明け暮れがつずいています。せめて、その日日にちいさな、かすかな灯をともすことが出来たら……この本を作っていて、考えるのはそのことでございました。どうぞ、あなたの、具体的な、ご感想を、きかせて下さいませ。

原稿を送って下さい。この雑誌に向くものなら、何でも結構ですけれど、とりわけてあなたの具体的な暮しの記録が、いただきとうございます。ひとが、どんなに生きたかを知ることは、どれほど力づけられ、はげまされるか知れないと思うからです。四百字で十枚くらい。お待ちしています。(S)