きょうのエスキス

一級建築士試験、R2学科復活合格。製図が鬼門。R3は自分に負けない年にする!じんわり日々の振り返り。

科学研究のいとなみ

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物理や科学にうとかった私ですが、今年に入り、3人の理論物理学者を知りました。中之島のラボカフェで詩人・谷川俊太郎さんと対談された橋本幸士さん。スタンダードブックストアで出合った『ご冗談でしょう、ファインマンさん』。女性科学者に与えられるノーベル賞といわれる、ロレアル - ユネスコ女性科学賞を受賞された米沢富美子さん。みなさん、繕ってない正直さ、ハッキリ伝える素直さ、心から出た言葉を言っているので、よどみがありません。瑞々しい感性とユーモア、優しさを持った、人間味あふれる方々です。記号化された数式から新たなものを作るには、それを還元する想像力、イメージの豊かさが大切なんだなと。また、持っているエネルギーのすべてをかける集中力。自然、宇宙の謎に挑む研究のいとなみのすごさに触れ、心の底から溢れ出る好奇心に従って、生きていいんだと思えるようになりました。

特に女性としては、米沢さんの生き方に関心があります。科学研究は、まず系統的な教育を受ける必要があり、図書館や実験装置も必要だと、橋本さんの自己紹介のプレゼンの映像からもわかったのですが、当時はそういうチャンスから女性は遠ざけられていたようです。しかし、泣きごとひとつ言わず、着実に研究の成果を上げ、一目置かれる存在になります。プライベートでも、学生時代に結婚され、子育て、病気を乗り越えておられ、そういう芯の強さにも憧れます。

じゃあ、メッセージを三つ送ります。一つ目は、精神的土壌。外なる敵だけではなくて、内なる敵、つまり自分の中にある、気がついていない敵との闘い。それを認識して、お一人おひとり、あるいは皆さんで力を合わせて闘っていただきたい。二つ目は、女性がいろんな仕事をするときに、言い訳はいらない。例えば「女性が増えれば、こんないいことがありますよ。だから、社会参画させてください」みたいな言い方ではなくて、人口の半分が女なんだから、いろんな分野で女が半分いて当たり前じゃないか、それだけでいいと思うんです。三つ目は、人生で何かにチャレンジするのに、「もう遅い」ということはないということ。「絶対何があっても、めげない」ということを信条に進んでいただきたいと願っています。

 今の私にはとても勇気づけられる言葉の数々。岩波新書から『人物で語る物理入門』も出しておられ、物理学を発展させてきた天才たちの自由闊達さ、論争好き、たすけあい、親交、情熱が伝わってくる内容なんだそうです。なんだか読んでみたくなりました。「研究ってなくならないんです。いくらでも先がある。私がいなくなっても、次の世代が研究を続けますからね、なくならない。科学の魅力ってそこですね。」楽しくて仕方がないのが伝わってきます。科学は奥深くて、おもしろい。そして、わたしは本当にひとが好きだ。

8/6 追記:米沢さんの言葉を抜粋します。「オッペンハイマーのところで書きましたが、物理学は核分裂を発見し、それが原子爆弾を生みました。科学技術は、人類を幸せにも不幸にもします。その矛盾をどうするか。不幸を極力小さくしなければなりません。二十一世紀、原子爆弾は、どこにも、誰の上にも、絶対に落ちないようにしないといけません。」探究は続く。