プレキャストコンクリート工事のまとめ
『施工』のなかでも、なかなか手強い、プレキャストコンクリート工事。気になってはいたものの、今までほとんど手をつけることができていませんでした。しかし、毎年一問出題されるので、今回ちょっとがんばってみます。
★スリーブ継手
・プレキャスト柱の水平部の鉄筋接合は、接合による鉄筋の伸縮がなく、残留応力も発生しないスリーブ継手とした。
・スリーブ継手は、施工後の非破壊試験が困難なため、施工の各段階で材料や施工を厳密に品質管理・検査した。
・スリーブ継手のグラウト材充填は、1か所から注入したグラウト材が、全ての排出口からあふれ出たことを確認した。
★まくら木
・部材を平置きする場合は、部材の大きさにかかわらず、まくら木の設置を2か所とした。
★敷モルタルを敷込み
・プレキャストの水平接合部は、レベル調整材より10mm程度高くに敷モルタルを敷込み、壁部材を建て込んだ。
★コンクリートの圧縮強度
・上階の組立て作業は、下層階の充てんコンクリートの圧縮強度が9N/mm2以上を確認した後に開始した。
・脱型時の部材コンクリートの圧縮強度は、部材と同一養生した供試体の圧縮強度試験の結果により確認する。
★脱型時の所要強度
・プレキャストの脱型時所要強度は、ベッドを傾斜させない場合12N/mm2とした(70~80°傾斜は8~10N/mm2)。
★許容差
・プレキャスト部材を現場打ちコンクリートに接合する部分においては、「プレキャスト部材の位置の許容差」と「現場打ちコンクリート部分の位置の許容差」とを同じ値(±20mm)とした。
★ひび割れ
・片持床板の部材で、支持方向と平行に0.3mm以上のひび割れが部材全体に入ったものは、廃棄処分とした。
・幅が0.3mmの軽微なひび割れは、ひび割れ箇所をVカットせずに、2液形のエポキシ樹脂を注入し補修した。
★最小かぶり厚さ
・プレキャストコンクリート部材の鉄筋に対するコンクリートの最小かぶり厚さは、非耐力壁・床・屋根の場合は20mm、耐力壁・柱・はりの場合は30mmとする。
★設計かぶり厚さ
・プレキャストの接合金物に対するコンクリートの設計かぶり厚さは、必要な最小かぶり厚さに+5mmを加えた。
★目地防水・シーリング充填深さ
・壁式プレキャスト鉄筋コンクリート工事において、部材接合部分の目地防水材として、JISによる反応硬化2成分形のポリウレタン系シーリング材を採用した。
・外壁目地の防水にシーリング材を用いる場合、シーリング材の充填深さは、10㎜以上とした。
・外壁の部材の接合部において、ポリウレタン系のシーリング材を使用する場合、シーリング材の目地幅を25㎜、充填深さを15㎜とする。
★加熱養生・散水養生
・プレキャスト部材は、コンクリートを加熱養生した後に、脱型し、適切な温度管理をした貯蔵場所で散水養生する。
・部材の加熱養生において、前養生時間を3時間とし、養生温度の上昇勾配を20°C/hとした。
★壁部材の組み立て
・壁部材の組立てにおいては、回転・転倒の危険性があるので、溶接により直交する壁と接合された場合を除いて、組立て用斜めサポートを2本設ける。
・壁式プレキャスト鉄筋コンクリート構造の壁と壁との鉛直接合部は、接合部材から出ている接合用の鉄筋を相互に溶接した後、コンクリート又はモルタルを充填するウェットジョイント方式とした。(高力ボルトの接合はドライジョイント)
★墨出し
・壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造において、一般階における壁部材の位置の墨出しは、床部材の組み立て後、溶接および充填コンクリート打ち込み後に行う。