きょうのエスキス

一級建築士試験、R2学科復活合格。製図が鬼門。R3は自分に負けない年にする!じんわり日々の振り返り。

コンクリートの中性化

アルカリ性を失い、中性化したコンクリートは、一般に、圧縮強度が著しく低下する。」⇨ ×

次の問題も、「中性化」はとにかく良くないという、ザクッとしたイメージで覚えていると、間違ってしまいます。

『コンクリートの中性化』とは、時間の経過とともに、空気中の二酸化炭素によってコンクリートが中和され、コンクリートアルカリ性が低下していく現象。中性化によって、コンクリート強度を失って崩壊することはないが、二次的に不都合が生じることがある。
⇒鉄筋周辺のコンクリートが中性化しても、
☆屋内 … コンクリートが中性化しているからといって、緊急に補修する必要はない
☆屋外… 雨水がコンクリート中に浸透してくるので,鉄筋は容易に腐食してしまう

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さらに、別の解説を読むと…
コンクリートは元々ph値が12~13の強アルカリ性であり、それによって鉄筋コンクリート中の鉄筋の表面には不動態皮膜と呼ばれる緻密な酸化皮膜が形成され、その酸化皮膜によって酸化から保護されている。中性化が進み、鉄筋周辺のph値がおよそ11以下になると、その皮膜が破壊され、鉄筋の腐食が始まる。そして、鉄筋の周囲には固いさびが生じ、もとの体積の2.5倍に膨れ上がり、鉄筋周辺のコンクリートを圧迫してコンクリートにひび割れを生じさせる。

時間はかかりますが、結局まわり道になっても、こうやって調べた方が記憶に残りやすいです。一緒に受検した知人も同じところが引っかかったようですし、こういう問題をとりこぼさないことが大事だなぁと思いました。

プラスチック収縮ひび割れ

模試の復習ですが、『施工』に入りました。コンクリート工事ですが、今回出題された2問とも間違えてしまいました。他の教科は2択で迷ったときでも、フォーカス・ポイントは合っていましたが、『施工』の場合、不適当な選択枝を読んでも、違和感がなかったんです。知識が定着していないからだなぁ。まずは、この問題から。

「コンクリート打込み後、プラスチック収縮ひび割れや沈みひび割れが発生したので、硬化を待って、われひび割れにエポキシ樹脂を注入した。」⇨ ×

○ プラスチック収縮ひび割れや沈みひび割れは、打設直後に発生するので、タンピングなどを行い処理する。 

『プラスチック収縮ひび割れ』と『乾燥収縮ひび割れ』の違いが理解できていませんでした。井澤式比較暗記法にも出ていたのに、読み流していました。今週末に読み直しをしたいと思います。

■プラスチック収縮ひび割れ
コンクリート固まる前の「プラスチックな状態、すなわち、可塑性のある、変形しやすい状態」において、直射日光や風による水分の蒸発によりコンクリート表面が急激に乾燥することよって生じるひび割れ。固まる前のため、速やかにタンピングにより処置。

■乾燥収縮ひび割れ
コンクリート固まった後の乾燥収縮ひび割れ。エポキシ樹脂注入工法などによりひび割れを埋めて補修しますが、仕上材の施工後にひび割れが進行しないように、仕上材の施工前までにできる限り長期間経過し、ひび割れができる限り終了した後に補修を行う計画とする。

耐火建築物としなければならない

模試の復習ですが、『法規』に突入しました。むかしは法令集を引くと、答えが載っているので、全体の構成・体系が理解できていなくても、知識がなくても、得点できていましたが、今ではそれだと試験時間が足らず、太刀打ちできないですね。それと、建築基準法以外の10問は比較的易しいので、焦らないうちに先に解くのがよいなぁと今回感じました。後回しにしていた、防火・避難、内装制限の問題は、時間をかけたにもかかわらず(かといって、すべての枝を法令集で調べる時間はない)、失点してしまいましたから。

準防火地域内においては、延べ面積2,000㎡地上3階建の建築物で、3階を共同住宅の用途に供するものは、耐火建築物としなければならない。」⇨ ○

前置きが長かったのですが、「耐火建築物としなければならない。」が出てくると、私の場合、耐火構造建築物、特定避難時間等倒壊防止建築物もあるから、これは間違い!となりがちです。たしかに防火地域・準防火地域以外では×になりますが、今回は「準防火地域内」。思考のクセがわかっていたので、問題用紙にチェックをし、法62条も見たはずなのに、「3階」だけを確認し、「2,000㎡」を見落としてしまいました。やはり、問題用紙に答えを導いたプロセスを残しておかないと、初めの印象に引っ張られてしまいますね。「特殊建築物の耐火義務(法27条)」と「防火・準防火地域の規定による義務(法61・62条)」の2つの側面から、冷静に判断しなければ。
 
防火地域」の場合
1.階数が以上
2.延べ面積が100㎡をえる 
のうちのいずれかに該当する場合は、耐火義務
 
準防火地域」の場合
1.地上4階建て以上
2.延べ面積1500㎡をえる 
のうちのいずれかに該当する場合は、耐火義務
 
合格物語のWeb講義を読んで、「サ(3)イレ(10)ン鳴らす よ(4)い子(15)」で数値を覚えていたんですがね。

「最も不適当」のワナ

さて、模試の復習は今日も続きます。「最も不適当なものはどれか」ができずに、失点するパターンがあります。今回ももれなくやってしまいました。×に近い△の枝は要注意!いったん保留にして、ほかの選択肢と照らし合わせることを怠ると、基本問題でもおとしてしまいます。
 
「受水タンクの保守点検スペースは、周囲に60cm以上確保する。」
 
受水タンクは、容易に保守点検するスペースが必要で、側面と底部は60cm以上、そして、上部は100cm以上だから、間違い!ということで、これを正答枝に。 
図は建築士.comより
 

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その次の選択枝がまったく記憶にありません。
「集合住宅における居住者1人当たりの一日平均使用水量は、120ℓ程度である。」⇨ × 
 
○「集合住宅における居住者1人当たりの一日平均使用水量は、200ℓ程度である。」
 
今気づきました。「周囲」というのは、上部と底部(下部)以外のことを言うのでしょうか。言葉って難しい。昨日は、髪を切りに行ったり、服を買いに行ったり、退職される先輩とお茶したりと、小休止。しかし、1日空いただけでもペースが落ちてしまいますね。よし、次のウラ模試に向けて、がんばるぞ〜。

建築協定・地区計画

建築協定においては、建築物の用途・形態をコントロールすることができるほか、建築協定区域内の公共施設設備計画を定めることもできる。」⇨ ×

引き続き模試の復習で、今日から『計画』に入りました。他の教科に比べ、勉強が手薄だったというものの、『法規』にも関連してくる「都市計画」の問題で失点をしてしまったのは、かなりまずい。そうなんです、じつはこの分野、法規でも出題され、同じく失点してしまい、ダブルパンチです。まちづくりに関心があると言いながら、このありさまです。この機会にしっかり勉強します。「建築協定」と「地区計画」の違いが理解できていませんでした。

「井澤式比較暗記法」の例題に、同じ問題が出ていて、【平成6年 問24】であることがわかりました。解説もわかりやすいので、引用します。さらに、合格物語のWeb講義とダブルチェックです。下図は大阪市より。なじみのある地域で解説を読むと、さらに理解が深まります。

建築協定
建築物の敷地、位置、構造、用途、形態、意匠又は建築設備に関する自主協定
公共施設(道路、公園等)は対象外
・土地の所有者等が全員の合意の上で建築協定書を特定行政庁に提出し、認可を受ける。
・全国どこでも定めることができる。(建築基準法4章に規定)

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■地区計画
・建築物、公共施設の整備計画を市町村が定める。
・土地の所有者等の意見を求めて市町村が案を作成し、都市計画審議会の議を経て決定する。(都市計画法16条2項、19条)
都市計画区域内においてのみ定めることができる。(建築基準法3章7節に規定)

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「地区計画とは、市町村が条例で制限をかけるもの」であって、建築協定の場合には、「土地の所有者等が区域を限定して、建築に関する制限をかけることができるもの」となる。つまり、「地区計画」は,市町村(行政)によって行われるものであるが,建築協定は,土地の所有者等(民間)によって取り決めを行い、その取り決めに対して「行政が認可する」という形式となる。

CASBEEと省エネ

「CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)におけるBEE(建築物の環境性能効率)は、「建築物の環境負荷」を「建築物の環境品質」で除した値である。」⇨ ×

『環境・設備』からまたしても、分母と分子がひっくり返った文章題が。問題文をサラッと読み流し、チェックもれで不正解となってしまいました。電気設備の需要率のときと同じで、「負荷」が分母にくるのか…  

○ 「CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)におけるBEE(建築物の環境性能効率)は、「建築物の環境品質」を「建築物の環境負荷で除した値である。」
 
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図はCASBEE大阪みらい編よりお借りしました。そもそもCASBEEって何?さっそく過去問をチェックしてみました。
 
【H27 問20】
「建築環境総合性能評価システム(CASBEE)における、BEE(Built Environment Efficiency)」は、値が大きいほど建築物の環境性能が高いと判断される。」⇨○
 
【H26 問20】
CASBEEは、「建築物のライフサイクルを通じた評価」、「建築物の環境品質と環境負荷の両側面からの評価」及び「建築物の環境性能効率BEEでの評価」という三つの理念に基づいて開発されたものである。⇨ ○
 
【H25 問20】
CASBEEにおいて、建築物の設備システムの高効率化評価指標として用いられるERRは、「評価建物の省エネルギー量の合計」を「評価建物の基準となる一次エネルギー消費量」で除した値である。⇨ ○
 
【H21 問20】
CASBEEは、建築物の総合的な環境性能を評価するためのツールであり、新築の建築物だけではなく、既存建築物の現状や改修前後の環境性能の変化も評価することができる。⇨ ○
 
【H18 問18】
「「CASBEE-新築」の評価項目には、建築物の環境品質・性能として「室内環境、サービス性能、室外環境(敷地内)」があり、建築物の環境負荷低減性として「エネルギー、資源・マテリアル、敷地外環境」がある。」⇨ ○

吸音特性と周波数

引き続き、模試の『環境・設備』の問題からです。入射音がある壁の断面構成(構造)と吸音特性の組み合わせを答える問いがありました。模試は無断転載・複製のため、日産アークさんより図をお借りします。共鳴器型は「特定の周波数で共鳴過多になる」というイメージの補足として、下図も合わせて確認しようと思います。
 

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先日、ブログに投稿した「環境・設備の引っかかる部分」でまとめたばかりで、文章では理解できたはずだったのに… 多孔質材料と孔あき板材料の違いがあやふやなままで、答えを逆にしてしまいました。過去問を文章で覚えるよりも、このような場合は、グラフで覚えておいた方が応用が利くかもしれませんね。
 
■多孔質型吸音
音が入射。繊維の振動や摩擦により熱エネルギーとして消費。高音域で効果大
■板(膜)振動型吸音
音が入射。板(膜)が振動。内部摩擦によって消費。低音域で効果あり吸音率としては低い
■共鳴器型吸音
孔の部分の空気が激しく振動し、周辺との摩擦熱として消費。共鳴周波数で効果大。孔とその後ろの空気層による吸音なので、材の種類は関係なし。
 
最近の過去問をチェックしてみると、すべて○の選択枝だったので、なんとなくわかった気になり、スルーしていました。毎年出題されていたのに、今まで放置していたなんて、もうビックリです。
 
【H26 問9】
「せっこうボードを剛壁に取り付ける場合、せっこうボードの背後に空気層を設けると、低音域で吸音率が大きくなる。」→○

【H25 問9】
「多孔質吸音材料では、その表面を通気性の低い材料によって被覆すると、高音域の吸音率が低下する。」→○

【H24 問7】
「孔あき板は、共鳴器型のメカニズムで吸音するので、音楽室等において吸音面として使用する場合、特定の周波数の吸音過多に注意する必要がある」→○

「多孔質吸音材料を、より広帯域にわたる吸音を目的として使用する場合、吸音材の背後に空気層を設けることが効果的である。」→○
 
応用問題になると…

【H28 問10】
「壁に多孔質吸音材料を使用するに当たり、表面を孔あき板やリブ等で保護する場合、開口率が小さいと、共鳴器型の吸音特性が現れることがある。」→○

【H27 問10】
「多孔質吸音材料を剛壁に取り付ける場合、多孔質吸音材料と剛壁面との間の空気層を厚くすると、一般に低音域の吸音率が高くなる」→○ 
「孔あき板と剛壁との間に空気層を設けた吸音構造の共鳴周波数は、孔あき板の開口率を小さくすると低くなる。」→○
追記:孔あき板は特定の周波数(周辺)の音に吸音効果が出やすく、その吸音率は上図のグラフのように、横軸に周波数をとった場合、山形となる。
背面の空気層を50⇒100⇒150(mm)と大きくすることにより吸音力のピーク周波数は下がっていく。(山が左へ移動)
また開口率を上げるほど、山が平坦になり下地の吸音力を生かすことができる。